X Moneyは単なる「金利6%のおいしい預金口座」ではない! マスク氏が27年越しに狙う「X内経済圏」戦慄の正体
データの問題もある。SNSの「いいね」から見える関心と、実際の消費行動はしばしば食い違う。しかし、この2つが連携されれば個人の行動推測の精度は格段に上がる。アメリカの法学者からもこの構造の危うさは指摘されているが、同国の金融プライバシー法はグループ内でのデータ連携には比較的緩い。
規制の側も揺れている。CFPBが策定した大規模決済アプリへの監督規則は、25年5月に議会が無効化した。また、マスク氏が率いたDOGE(政府効率化省)はCFPB自体の業務縮小を図り、裁判所が機能保全命令を出す事態になった。マスク氏は同年5月末に退任したが、在任中にCFPBの弱体化を進めながら自らの金融サービスを準備していた懸念は残る。
日本でも普及する余地はあるか
日本はXのユーザー数で世界2位の市場であり、展開の優先度は高いはずだ。ただ、X Moneyを「そのまま」持ち込むのは簡単ではない。
日本の資金決済法は、アプリ内に100万円以上の資金を滞留させることを基本的に認めていない。高金利で大きな金額を預かる設計にするなら銀行免許が必要で、現実的には日本の銀行と提携してサービスを提供する形にならざるをえないだろう。さまざまな金融商品を展開するには、犯罪収益移転防止法や金融商品取引法の壁も加わる。
一方で、メッセンジャーと決済サービスの融合を「海の向こうの出来事」で片づけるのは早計だ。PayPayの「送る」機能にはすでに簡易的なチャットが組み込まれていて、決済サービスがメッセージングを取り込みつつある。X Moneyと方向性は違うが、「1つのプラットフォームに生活と金融をまとめる」という流れは、日本でもすでに始まっている。
X Moneyのベータ版は、来月にもアメリカで一般開放される。まずは、リリース後の同国での状況を注視しておきたい。
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