教員志望の学生「知識がなさすぎる」、探究重視で知識を軽視…"大学の教職課程"への強烈な危機感

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しかし、ただ知識を詰め込むだけでは、生徒が面白いと思う授業ができるわけではないはず。大切なのは、基本的な知識を頭に入れたうえで、自分なりに考えるという過程のようだ。

「学生の多くは高校時代と同じ勉強の仕方をしています。しかし、大学ではたくさん本を読み、自分の専門分野に詳しくなることが大切。『知識はインターネットや生成AIに聞けばいい』という人もいますが、それは表面的な知識でしかありませんし、ネットや生成AIの情報が正しいかどうか判断するにも知識は必要です。

加えて、普段から自分の頭で考えていないと、いざ学校現場に出た時に、生徒から『これはなぜこうなのか』と聞かれた時に答えられないのです」

また、長野さんは「教員志望の学生にこそ大学院への進学を視野に入れてほしい」と語る。経済状況や人生設計は人それぞれなので、誰もが大学院に進学できるとは限らないが、「大学院生くらいの勉強量が教員には必要だ」と指摘する。

「今、『教員はブラックな仕事だ』とか『スマホの普及で生徒の学力が低下した』などと言われています。しかし、大学で教えるうちに、『問題の根本には、教員そのものの課題もあるのではないか』と思うようになりました。制度改革うんぬんの前に、まずは教員の質、つまりは大学の教職課程そのものを変える必要があるのではないかと思っています」

中教審でも教職課程の見直しが進められている…

中教審でも教職課程を見直す方向で議論が進められている。教員免許の取得に必要な基礎的な科目の単位数を4〜5割ほど減らし、強みや専門性にかかる科目を20単位程度増やすことを検討している。

1種免許を取得するには基礎的な科目で59単位以上取ることが必要だが、これを小学校で35単位、中学校で31単位、高校で29単位に減らし、専門科目とあわせて小学校で55単位〜、中学校で51単位〜、高校で49単位〜とすることが検討されている(文科省「今後の教職課程や教員免許制度の在り方について(中間まとめ)案」)。

これにより教員養成系の大学や学部以外でも免許を取得しやすくする狙いがあるが、教員それぞれの強みや専門性を伸ばせるような仕組みにしていくことが必要と考えているようだ。

教員不足の解消や教員の質確保のための制度改革だが、その前に向き合う課題も多そうだ。これまでの一方的な知識教授型からアクティブ・ラーニング型へ。学校教育が大きな転換が進められようとしている。なぜそれが必要なのか、そしてそのためには何が必要なのか。それぞれが自分の頭で考えることこそが、第一歩なのかもしれない。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
吉田 渓 フリーライター

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よしだ けい / Kei Yoshida

神奈川県出身。大学在学中からフリーライターとして執筆活動を開始。近年は心と身体、教育、ワークスタイルなどを中心に執筆を行う。ライフワークは農業や漁業にまつわる言い伝えや桜の言い伝えを調べること。著書に『働く女のスポーツ処方箋』がある。

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