教員志望の学生「知識がなさすぎる」、探究重視で知識を軽視…"大学の教職課程"への強烈な危機感

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「話をすればするほど、一般常識も、教科書に書いてある知識も、学生たちの頭の中にしっかり入っていないようなのです」

長野さんが特に頭を抱えたのが、学生たちが一人ずつ「模擬授業」を行う授業の時だった。

「作ってきた台本をひたすら読むとか、高校の授業で配られたプリントを黒板に書き写すだけ、という学生ばかりなのです。しかも、その台本の情報が間違っていたりする。それでも、ほかの学生は間違いを指摘しようとしません」

学生たちは適当に取り組んでいるのではなく、みんな真面目なのだが、知識量も授業の仕方も十分とは言えない。そのため、長野さんは「この子たちが教員になるにはもう少し時間がかかるだろう」と感じていた。

ところが、「この子は知識量が足りない」と長野さんが感じた学生も教員採用試験に合格し、教員として採用されることになった。晴れがましいことではあるが、長野さんは複雑な思いを抱えることになった。

「教え子を悪く言いたくありませんが、教員採用試験の倍率が下がっている中、知識も教え方も教員になれる水準にない学生が教員になれてしまうのが現実です。質の低い教員が今後さらに増えていくのか……と考えてしまいました」

文科省によれば、2025年度(24年実施)の公立学校教員採用試験の倍率は2.9倍と過去最低だった。00年度の13.3倍をピークに減少の一途をたどっている。学校種で見ても小学校2.0倍、中学校3.6倍、高校4.4倍といずれも過去最低だ。

公立学校教員採用試験 受験者数・採用者数・競争率(採用倍率)の推移

なぜ知識量が低下しているのか

こうした学生の様子は、長野さんが教えている大学だけの話ではないようだ。中高一貫校の国語教員の経験がある長野さんはこう話す。

「中高の教員として教育実習生を受け入れた時にも、教育実習生に対して同じようなことをうっすら感じていました。教育実習生としてやってきた学生は、今教えている大学とは別の大学から来た学生ばかりでしたが、高校時代に使っていたノートを書き写している教育実習生がいました」

それもあって長野さんは、教員を目指す学生たちの知識量の低下を改めて確信したのだという。

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