「えっ、こんなとこ?」
あのときの衝撃は、20年近く経った今も忘れられない。前を歩く中年の女性が入っていったのは幅1mもない路地だった。
おそらく歩行者同士がすれ違うのがやっとだろう。東京にこんな空間があること自体が、私にとっては大きな驚きだった。
田舎者の好奇心を刺激した「こち亀」に出てきそうな風景
いわゆる氷河期世代である私は、就職活動でずいぶん苦労した。編集者もしくはライターをめざしていたが新卒時は内定を得られず、地元・奈良で学習塾の非常勤講師として働きながら活動を続けた。
面接などで東京へ行くことは何度もあったけれども、訪れるのは山手線沿線とその内側だけ。夢をかなえた後どこに住むかなど、まったく考えたことがなかった。
そんな状況が変わったのは社会人4年目のことだ。千代田区神田錦町の編集プロダクションに面接で訪れた際に、社長から「うちに来るか」と言われたのだ。そこへ通いやすい場所として都営新宿線沿線に目をつけた私は、候補となる駅をいくつかピックアップして、実際に歩いてみることにした。




















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