「年収100万円アップ!」に釣られて転職したものの、喜びもつかの間…"転職ブーム"で若手が直面する《想定外のワナ》
このような企業は、筆者の観察では売り上げが30億~50億円以上となり、採用や定着がある程度できて、育成の仕組みの土台は出来上がりつつあるケースが多い。全員の底上げが一定レベルには達し、全社で稼ぐ仕組みが整っているように見える。
社会保険労務士として35年ほどのキャリアがある大津章敬氏は「このスタイルを導入するケースは確かに増えているが、職種にも影響を受ける」と指摘する。
「長期雇用の下、昇格のステップがたくさんあるような職種、たとえば総合職で管理職や役員になるのを期待される人材には検討してもよいと思う。一方で、事務職や製造現場で固定的作業をする社員への導入は向いていない面があるとも言える。むしろ、従来の定昇を中心にしたものが妥当ではないか。
私のコンサルティングでも、総合職の社員に対しては定昇の額を抑え、昇格昇給の額を増やし、功績に報いる傾向が強くなっている。中小企業は昇給の原資を大きく増やすことが難しいケースが多い以上、特定の優秀層にそれを使い、それ以外の社員の賃上げは結果として抑えざるをえない。冒頭の男性の事例もその一例と言えるのかもしれない。
通常、IT企業のプログラマーは40~60代よりも20代のほうが最新の技術を持っていることが多々ある。したがって勤続年数や年齢を重視する年功序列の定昇よりも、昇格昇給に重きを置く制度にするのは妥当だ。同業他社で賃上げが進むならば、なおさらのこと。優秀な人材に転職されては困る、と考えているのではないか」
主任でも「給与差は月2万〜4万円」
昇格昇給制度には危うさもある。
たとえば、広告の中小ベンチャー企業(社員約70人)は「賃上げは5%以上」と転職時の面接試験でアナウンスしていたが、内情を知る税理士によると昇格者の大幅アップ分をその平均5%に含めていたという。




















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