「駅前が廃墟化してる?」「人も歩いてない?」と思いきや…千葉にある「百貨店全滅タウン」が今も賑わう理由

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ここで改めて整理しておきたいのが、「百貨店」という業態の特徴である。百貨店は、多種多様な商品を部門別に管理し、対面販売を通じて顧客と関係を築く「総合性」と「格式」を強みとしてきた。

一方、70年代以降に拡大したGMSや駅直結型施設は、セルフサービスを前提に、日常の買い物を効率化する業態である。

前編でも詳しく書いたが、市川で起きたのは、商業の衰退というよりも、消費の役割分担の進行だった可能性がある。対面や格式を伴う「ハレ」の消費は東京へ。地元には、価格と利便性を重視した「日常」の消費が残った。

その視点で見ると、ダイエー市川店が現在まで営業を続けている理由も見えてくる。同店は駅北口を出てすぐの立地にあり、帰宅動線上で食品や日用品を「回収」できる拠点として機能している。途中下車や車移動を必要とせず、生活のルーティンに自然に組み込まれている点が大きい。

商業施設の寿命は、建物の新しさや話題性よりも、生活動線への接続の強さによって左右される。滞在型モールのように“目的地化”を競う施設と異なり、日常の回収拠点として位置づけられたGMSは、来店頻度の高さによって安定的な需要を確保しやすい。

実際、同様の構図は他都市にも見られる。千葉県のイトーヨーカドー船橋店は、隣接していた西武百貨店が18年に閉店した後も営業を続けている。百貨店という「ハレ」の目的地が消えた後も、駅前で食品や日用品を担う総合スーパーは、生活機能を支える存在として存続している例の一つといえる。

共通するのは、「わざわざ行く場所」であることを競うのではなく、「そこを通らずには生活が完結しない場所」として位置づけられている点だ。

ダイエー市川店もまた、その文脈で理解できる。百貨店的な「ハレ」を競うのではなく、日常の回収拠点としての機能を徹底することで、駅前にとどまり続けているのである。

本八幡駅前とニッケに分かれた街の重心

本八幡駅の駅前にあるパティオ本八幡(写真:筆者撮影)

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