ほぼ初対面50代女子が"温泉"で「自意識の解放」――寒さに震えた大人4人の箱根日帰り旅で知った「50代を軽やかに生きる」ための新たな境地

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まだ日も落ちてないし、と私が言うと、Tさんは首を振りました。

「帰りのロマンスカーの最終が確か19時台なので、お風呂と夕食の時間を考えたらもうあんまり余裕ないです」

「え!?」

「そんなに早いの!?」

Tさんが「とりあえずバスに乗って、箱根湯本駅まで戻りましょう」と、皆を促しました。箱根まで来て温泉に入らないなんて、もったいないことできません。ご飯だって、せっかく来たんだから箱根で食べたいです。

ちなみに日帰り温泉は、評判のいいところに目をつけていて、そこでは夕食もとれます。

箱根湯本駅に着いたあとは、日帰り温泉の送迎バスに乗り換えです。

私たちは地図を見て「歩いても行けそう」と思っていましたが、小型バスに揺られて山道を進んでいると、ほぼ街灯もなく細い道で、既に日はかなり落ちていたので、「やっぱり歩かなくて正解」と、顔を見合わせ頷き合いました。

目指す「箱根湯寮」に到着した頃には周囲は暗く、看板の明かりが幻想的に光っていました。

「歳を重ねること」の良さ

「それじゃあ、Tさん、1時間後に食堂で」

Tさん以外の私たち女3人は入場手続きをすませ、女湯に向かいました。そして速やかに全裸になり、浴場へ。

私はこの、「裸の付き合い」ってとても好きです。なんだか、一気に距離が縮まる感じがするから。妹と友人Mはこの日が初対面ですが、いきなり裸の付き合いができました。

ちなみに、私は妹とはもちろん、Mとも何度か一緒に風呂に入ったことがあります。若い頃は友人とはいえ裸を見られることに抵抗がありましたが、年々そういう羞恥心はなくなり、今はまったく気にならなくなりました。歳を重ねることは、自意識など面倒な荷物を下ろせるという良さがあります。

温泉には露天風呂があり、しかも湯船がたくさんあって、温泉好きで各地の温泉施設を体験している妹も、「広いし風情もあっていいね」と満足げでした。

何度も湯船を出たり入ったりし、時刻を見るとそろそろTさんと約束した1時間が経とうとしています。妹と「そろそろあがろうか」と、浴場を出ました。Mは少し前に「のぼせそう」と、ひと足先に食堂へ向かっています。

「お腹空いたねえ」

「うん。おいしいものがあるといいね」

浴室のある棟を出て渡り廊下を進み、食堂に入ります。

「ここ。先にやってるよ」。奥の席から、Mが生ビールを掲げ、私たちを呼びました。

「Tさんは?」

「まだ。私が一番乗り。Tさんなかなか長風呂だね。男性って、烏の行水のイメージだったわ」

私たちは早速メニューを広げ、飲み物とカキフライやタコの唐揚げ、そして焼きおにぎりなど食事を注文しました。

「これ、気になる……」

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