このような製品戦略をフェラーリは「Different Ferrari for Different Ferraristi(異なるフェラーリを、異なるフェラーリファンへ)」「Different Ferrari for Different Moments(異なるフェラーリを、異なる瞬間に)」と名付けている。つまり、ニーズを細分化することで幅広いモデルラインナップを用意。それらを限られた生産キャパシティのなかで少しずつ世に送り出すこととしたのだ。
これはフェラーリのような超高級自動車メーカーにとって理想的な戦略といえる。
なぜなら、1モデルあたりの生産台数が限られるので製品の希少性が確保されるいっぽうで、多種多様なモデルを生産することでフェラーリ全体の売り上げや利益を最大化できるからだ。冒頭で述べた業績は、こうして達成されたものと見ていいだろう。
伝統のネーミング“テスタロッサ”の意味
では、SF90ストラダーレの後継モデルとして誕生した849テスタロッサは、どのようなスーパースポーツカーだったのか。
まずはそのモデル名だが、最初の数字は「エンジンが8気筒で、1気筒あたりの排気量が490cc(厳密には499cc)」であることにちなんでいる。このように、エンジンの気筒数や排気量をモデル名の一部に用いるのは、フェラーリの伝統的な手法である。
これに続くテスタロッサは、イタリア語で「赤い頭」を意味する。実はこれもフェラーリにとって伝統的なネーミングで、高性能なエンジンの“頭(エンジンヘッド)”を赤くペイントしたことに由来している。つまり、テスタロッサはハイパフォーマンスカーの証しというわけだ。
しかも、「ハードコア・ファン向け」だったSF90ストラダーレの後継モデルとくれば、その走りはかなりスパルタンで、扱いにくく、快適性もあまり高くないスーパースポーツカーを想像されるのが自然だろう。
事実、SF90ストラダーレにはスパルタンな側面がなきにしもあらずだったが、849テスタロッサではそうした印象が見事に消し去られ、快適で扱いやすいモデルに生まれ変わっていたのだ。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら