【モデルを細分化することで多くの顧客を生むビジネス】なぜフェラーリは成功を収めているのか、新型車「849テスタロッサ」のポジション

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849テスタロッサのボディサイズは、全長4718mm✕全幅2304mm✕全高1225mmで、ホイールベースは2650mm
849テスタロッサのボディサイズは、全長4718mm✕全幅2304mm✕全高1225mmで、ホイールベースは2650mm(写真:Ferrari Japan)

事実、849テスタロッサの先代にあたる「SF90ストラダーレ」が誕生するまでは、排気量6.5リッターのV12エンジンを積む「812スーパーファスト」がラインナップの最上位に君臨していた。

ただし、ここに搭載されていたV12エンジンはターボチャージャーを持たなければハイブリッド・システムも組み合わされていない純然たる内燃機関。したがって、いかにフェラーリの高出力技術を駆使しても、その最高出力は800psにとどまっていた。

1000psを達成したSF90ストラダーレ

エクステリアデザインは、冷却性能の最適化とダウンフォースの増強を目標としつつ、「512S」や「512TR」、「FXX-K」といった過去と現代のレーシングカーからインスピレーションを受けたものとなっている
エクステリアデザインは、冷却性能の最適化とダウンフォースの増強を目標としつつ、「512S」や「512TR」、「FXX-K」といった過去と現代のレーシングカーからインスピレーションを受けたものとなっている(写真:Ferrari Japan)

いっぽう、812スーパーファストの2年後にデビューしたSF90ストラダーレは、V8エンジンながら2基のターボチャージャーを装備することで排気量4.0リッターにもかかわらず最高出力780psを発揮。さらに、ここに最高220psを発揮する3モーター式プラグインハイブリッドを組み合わせることでシステム出力1000psを達成し、800psの812スーパーファストを軽々と上まわったのである。

つまり、SF90ストラダーレの誕生によってフェラーリの歴史が塗り替えられたのだが、だからといってフェラーリはV12エンジン搭載モデルをSF90ストラダーレの下に位置付けるのではなく、V12エンジン搭載モデルならではの新たなポジションを設定したのである。

オレンジがかったイエローが鮮やかなGIALLO AMBRAのボディカラー
オレンジがかったイエローが鮮やかなGIALLO AMBRAのボディカラー(写真:Ferrari Japan)

この考え方に基づいて開発されたのが、812スーパーファストの後継モデルにあたる「12チリンドリ」だった。24年に発表された12チリンドリは、最高出力830psの自然吸気式V12エンジンをキャビンの前方に搭載。この基本レイアウトそのものは812スーパーファストと共通ながら、最高のパフォーマンスを重視した812スーパーファストとは微妙に異なり、優れたパフォーマンスと快適性をうまくバランスさせたキャラクターに仕上げたのだ。

こうすることで、パフォーマンス最優先のSF90ストラダーレと、ここにラグジュアリー性を加味した12チリンドリの2台がほぼ並び立つモデルラインナップを構築。ときにはサーキット走行も楽しみたいというハードコアなスポーツカー・ファンにはSF90ストラダーレを、サーキット走行よりも長距離ドライブを楽しみたいとするグランドツーリング派には12チリンドリを提供することで、より幅広い顧客層の獲得を目指したのである。

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