出産してからは、子育てに奮闘する姿が見えるせいか、妊娠中に比べれば職場で表立っては非難されにくくなった。子育て中の同僚と、ママ同士として子育てについて雑談や情報交換をすることもある。
とはいえ、未婚であることで「幹部の愛人」といった噂が流れることもあるし、残業するBさんに「母親失格なのでは?」と言う人、「母親らしくない外見や働き方」などと批判する人もいるそうだ。
ただ、ネガティブな視線を向けるのは主に上の世代で、後輩たちからは憧れの目で見られることも増えてきたという点に、かすかな希望が見える。
「既婚・未婚を問わず、子どもを産むのは親の一存で、ある意味ではわがままであり、産んだのは自分の欲だという感覚を持っている」と話すBさん。
「今、息子はおそらく幸せと思っていて、自分に何かが不足していると思わずに生きているので、現時点では親としての責任は果たせている、と感じている」と言う。
あえてシングルマザーになる道を選んだという事情もあるが、学生時代から子育てと仕事の両立を実現するために熟考し、調査した用意周到さは、尊敬する。同時にそこまでしなければならなかった現実に、違和感も抱く。
「望んだ仕事をしつつ子育てをする」難しさ
今もなお、将来起こりうるさまざまな事態を想定しつつ、仕事と子どもの両方に向き合うBさん。彼女が歩むフルタイムワークと子育ての両立という道は、もしかする後輩世代には少しなだらかになるかもしれない。
東京で、曲がりなりにもワーキングマザーがキャリアを積む職場が珍しくなくなりつつあるのは、先行世代の女性たちが奮闘し道を切り開いてきた成果でもあるからだ。
彼女の周到なリサーチはまた、以前の記事でご紹介した、もともと子どもを欲しくなかったが産んだ女性たちの話を思い起こさせた。モチベーションのベクトルこそ違うが、仕事を手放さずに子育てするためという動機では共通している。
それはつまり、いまだ日本で女性にとっては、望んだ仕事をしつつ子育てをするのが当たり前ではない側面があるからだ。子育てしていても、自分が生きたいように生きられる。それが男性と同様、女性の普通になったとき、初めて少子化の傾向は弱まるのではないだろうか。
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