取材を終えて、西日が新社屋のガラス張りのビルを黄金色に染めていた。窓の外には建設中のビル群が並び、クレーンが空に向かって鋭く伸びている。広州という街は、常に湿度を帯びた空気の中で成長を続ける“不完全な生き物”のようだ。その真ん中に建つこの新社屋もまた、完成された未来ではなく、“未来へ向かって伸びつづける途中の姿”をそのまま包み込んでいる。
AIの“湧現”とは、きっとこの街の成長と似ている。ある一線を超えた瞬間に、突然風景が変わる。昨日までの延長線上には見えなかったものが、急に輪郭を持ちはじめる。シャオペンが描く未来は、まさにそのような瞬間を迎えようとしていた。
EVメーカーが示す、AI分野での存在価値
「これからの10年、最大の価値は“移動するデバイス”ではなく、その中で動く“物理AI”そのものにあります」という、グ副会長の言葉が強く頭に残っている。
クルマはそのひとつの形であり、ロボットも、エアモビリティも、そのひとつである。複数の分野にまたがる挑戦が、すべて1本の線でつながっていることを実感した。新社屋で見た光景は、単に新興EVメーカーの成長戦略ではなく、AIが世界をどう理解し、どうフィジカルな空間での存在感を得ていくか──その歴史の初期を見ているようだった。

