クマ被害が止まらない東北、過去10年で少子化「ワースト5入り」の厳しい現実

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クマ被害が相次いでいる。写真はイメージ(写真:鬼太鼓/PIXTA)

連日のように、人やペットがクマに襲われるニュースが続いている。筆者は数年前、取材に訪れた記者に「少子化ワースト5エリアすべてが東北で、激しい出生減・人口減にあることからも、早々にクマの害が深刻になるでしょう」と伝えていた。そのときはネタ話でもあるかのように「その視点、おもしろいですね!」などと笑われたが、残念ながらわずか数年で的中する事態となってしまった。

兵庫県立大学自然・環境科学研究所の横山真弓教授は先月末のABCニュースの記事で、クマの深刻な被害が増加している原因は

・ドングリの凶作(しかしこれによってヒト生活圏への侵入はこれまでなかったとのこと)

・クマの個体数の増加(全国的に増加傾向で、岐阜と滋賀では年15%増加)

にあり、その背景に「人の山離れ」があると指摘している。

少子化ワースト5はすべて東北

クマもヒトも同じ哺乳動物であり、日本は中山間地域が64%を占める「山の国」である。ゆえに、山に生息する動物たちと里のヒトとの共存社会であるといってよい。人口が減るだけではなく、その前段階として激しく高齢化することは、ヒトと動物の共存ではなく、ヒトと動物の生存競争へと変化を生み出すことは想像にかたくない。

筆者は人口動態を研究しているなかで、「若者、特に女性が20代前半でだるま落としのように東北からいなくなる」ことと「いない女性からは子が生まれないこと」のダブルパンチで東北地方の高齢化が急速に進んでいることを東北各地での講演会で指摘してきた。若者減と出生減で人口構造の高齢化が激しく進む東北各地において、「出生大幅減の上流にある若年女性減がもたらす人口減の未来」について、警鐘を鳴らし、女性の地元雇用定着を人口減対策の要と考えるよう訴え続けてきた。

地元に残ってくれた女性、地元の母親たちが産まないから出生数が他の都道府県より大きく減っているのではなく、若年女性が就職期に他よりも大きく地元を去っていくから、全国トップクラスの出生減、すなわち「超少子化社会・東北」となっていることをデータとともに繰り返し伝えてきた。

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