社長取材というのは会話の一言一言がいわば企業の公式見解です。少々極端な言い方をすると、記者の質問に対しリアルタイムに経営判断をしながら回答していることになるので、その言葉が持つ価値はとても高いものになります。
しかしそれ以外の重役の発する言葉は、後からより上位の意思決定者である社長によって覆される可能性のある暫定的なコメントとも言えるわけです。
別な言い方をすると、社長の発言というのはかくも重いもので、簡単には撤回できないものです。「あのときは取材のやり取りの中でテンションが上がってそう発言したかもしれないが、冷静に考え直してみると、そうは思っていない」といった種類の言い訳は通用しません。
このお約束を無視すると最終的にこの社長=会社の言っていることは何も信用できない、となってしまいます。
単なる言い間違いや数字の勘違いなら撤回も可能でしょう。しかし、たとえば「海外進出を考えている」「国内工場の整理が必要だ」というような重要な事案に対する発言が「個人の感想です」ではすまないわけです。
これは広報があとからどう取り繕おうとしても、撤回のできない発言として記者に受け止められます。
広報の視点からみると、自身の発言にとても大きな覚悟が必要であることを認識しているかどうかが、社長か、社長でないか、の決定的な違いのように思います。
「夜討ち朝駆け」への対応も
日本では自宅を出た瞬間にとんでもない景色に遭遇することがあります。
玄関ドアを開けるとそこにはカメラの砲列があり、マイクとボイスレコーダーを持った記者が詰めより、容赦ないカメラのフラッシュで目が眩んでしまう。企業のスキャンダルなどで自宅前に待ち構えているマスコミに一斉に取り囲まれている状況を見ることがあると思いますが、そんな状況に自分自身が陥る可能性があります。これは報道の世界で言う「夜討ち朝駆け」といわれる自宅突撃取材なのです。
夜討ち朝駆けはなにもスキャンダル時に限った話ではありません。「特ダネ」を得るためには、企業の正式な広報発表だけを待っているだけではいけません。広報を通さず、ゲリラ的な取材を日夜粛々とおこなう記者がいます。
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