一方、社会貢献的な取り組みは下火になってきました。また、事業活動が社会課題に直面する企業は統合報告書ができ、有価証券報告書にも載り、経営陣も関わるようになり、すごくよくなったケースが出てきています。反対に社会課題解決が事業活動と結びつけにくい場合、停滞し続ける企業や活動が見えにくくなった企業もあるように思います。
Aさん:重要なのは、企業は自社の利益だけでなく、社会・環境への影響も考慮して事業活動を行う「ダブルマテリアリティ」の視点を持つことです。事業をサステナブルに続けるためには、自然も守らないといけない。それは、山や海など自然からの資源を使っているからで、企業にとってよいことは、社会にとってもよい、結果としてどちらの視点からも説明がつくというわけです。
Gさん:ダブルマテリアリティの議論は、当初GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)の概念のなかで模索されていましたが、ISSBの前身であるVRF(価値報告財団)がプロトタイプを作成する際に、ダブルマテリアリティについての整理を行っています。
また、欧州のCSRD(企業サステナビリティ報告指令)でも、ダブルマテリアリティについての定義が文書で明確に定められています。その際、いずれもSDGsは含まれておらず、あくまでも似た概念をそれぞれが解釈しているにすぎません。情報利用としては世界では支持されていないのではないでしょうか。
SDGsは、本来、情報開示のために開発されたものではないし、欧州ではCSRDが制度化され、グリーン政策も整備されています。また、アメリカではもともと情報利用の世界では使われていません。本来、企業、投資家だけでなくすべてのステークホルダーに対しての目標としては意味があると思うので、無理やり企業の情報開示や投資の世界に利用しなくてもよいのではないでしょうか。
対話のツールとして活用されていく
――企業が取り組むSDGsについての成果や課題は何でしょうか?
Eさん:インプットでもアウトプットでもなく、アウトカムが重要だと広めたのは、SDGsの大きな成果でした。SOMPOホールディングスやSMBCグループ、丸井グループなど、年次レポートで自社の取り組みの成果を計測して、定量的なアウトカムを報告できている企業もあります。
このように先端を走るところがあり、今後、追随する動きも見られるでしょう。あと5年で、どこまでアウトカムのレポートが広がっていくかを期待しています。
Aさん:そもそも残り5年で企業が取り組んでも全達成は無理なので、例えば気候帯域別で分けるなら、このエリアではこの目標に注力するなど、優先順位をつけるべきだと思います。自社が持つリソースや特技を生かして達成を目指すべきで、その点は明確にすべきです。
実際にはSDGsの目標ではなく、ESGやサステナビリティなど説明しやすい言葉を選ぶのでしょうが、より優先順位や注力領域を明確にしないと、大きな効果は得られません。
目標を立てたときと大きく状況が異なるのは、生成AI(人工知能)の存在です。活用することで目標が見直せたり、アプローチ方法が変わったりするかもしれません。新技術を使えるかどうかで目標達成の着地点は大きく異なる可能性があります。ただ、使える使えないで大きな格差が発生しかねないという別の懸念も抱いています。
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