三菱電機、日野自動車、豊田自動織機…頻発する企業不祥事の根本原因は「組織文化」にある

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不祥事の根本原因は、組織文化に潜んでいるようです(写真:metamorworks / PIXTA)

コンプライアンスや倫理教育、各種制度・ルールなどの備えにもかかわらず、製造業をはじめ、サービス業、テレビ・マスコミも含めたさまざまな分野で、耳を疑う不祥事のニュースが絶えません。

各事案への第三者委員会報告や当局の検査結果は、根本原因にはルール逸脱の日常化とそれを正当化する歪んだ意識が浸透した「組織文化」で共通することを浮き彫りにします。

さらに、こうした組織要因の負の力は、不祥事だけではなく、命やくらしに影響する大事故も引き起こします。

筆者は、こうした組織事故・不祥事の発生メカニズムと抜本的な再発防止対策(組織文化の変革)を、自著『失敗しない「人と組織」 本質的に生まれ変わるための実践的方法』で解説しました。その中より、品質不正などの実例に見る不祥事の根本原因をご紹介します。

製造業での品質偽装問題

利益・工程重視などの動機により、コンプライアンスや顧客重視の正しい目標から逸脱し、会社全体の信頼を揺るがす品質偽装などが、たびたび発生しています。それぞれの組織文化の何が問題なのか、振り返ってみます。

①三菱電機

国内22製作所中17製作所で、幅広い製品の製造過程で200件近くの品質不正が発覚しました。しかも、ある製作所では40年間も不正が続いていました。

原因に挙げられた次の歪んだ意識や行動が多数の職場で横断的に見られたため、会社全体の組織文化が問題だと分かります。

・品質に実質的に問題がなければよいとの正当化
・品質部門の脆弱性
・ミドル・マネジメントの機能不全(問題を把握しても是正せず。部下は言ったもん負け)
・本部・コーポレートと現場との間の距離・断絶
・拠点単位の内向きな組織風土
・事業本部制の影響
・経営陣の決意の本気度に課題

特に、1番目の「不正を正当化する声」を、具体的に挙げてみます。

「納期やコスト削減」「昔からやっている」「前任者から指示された」「性能や安全性に問題はない」「試験設備が存在しない」。このように、根拠のうすい身勝手な言い訳ばかりです。この歪んだ意識が、一人だけではなく、当たり前のこととして現場に浸透していたことがうかがえます。

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