三菱電機、日野自動車、豊田自動織機…頻発する企業不祥事の根本原因は「組織文化」にある
②日野自動車
エンジンの認証申請に関し、排出ガス劣化耐久試験と燃費測定での不正が発覚し、国からの型式指定取り消し処分や是正命令に発展しました。
意外なことに、従業員アンケートでは、不正発生部門や個人よりも「企業風土・体質に問題の真因がある」との指摘が多く寄せられました。
それらもふまえ、特別調査委員会報告が挙げた「真因」の一部を紹介します。
・セクショナリズムと人材の固定化
・職業的懐疑心や批判的精神にもとづく建設的議論の欠如
・能力やリソースに関する経営陣と現場の認識に断絶
❷世の中の変化に取り残されていること
・上意下達の気風が強過ぎる組織、パワーハラスメント体質
・過去の成功体験に引きずられていること
・チェック機能が不十分
❸業務をマネジメントする仕組みの軽視
③豊田自動織機
エンジンの排出ガス性能に関する国内認証において、試験結果の書き換え、データの書き換え、量産品と異なる制御ソフトの使用などの不正が発覚し、国からの是正命令と型式指定取り消し処分を受けました。
原因には、コンプライアンス意識の低さ、不合理な開発スケジュール、問題解決に行動を起こさない管理職の機能不全、などが挙げられます。
特に、不正行為を知っていても、「上司に相談したところでどうせ、『何とかしろ』などと言われる雰囲気があり、部長に相談したとしても無駄であると半ば諦めていたため、報告することはなかった」と、言い出せない風土への社員の赤裸々な証言もありました。
その上で、根本原因の一つとされる「企業体質・組織風土」では、自ら問題や課題を発見して解決方策を導き出す力の弱さ、リスク感度の低さ、部門間のいびつな力関係などが指摘されました。
金融・サービス業でのシステム障害や不正請求問題
①みずほ銀行
数度の大規模システム障害を経験したにもかかわらず、再度、大規模システム障害を発生させ、顧客対応や危機管理面での大きな課題を示しました。調査委員会の分析では、「危機対応力・ITシステム統制力・顧客目線の弱さ」に加え、「それらが容易に改善されない体質・企業風土」が根底にある、と指摘されました。
その「企業風土」には、持ち場を超えて積極的・自発的に行動しない姿勢の背景に、「積極的に声を上げて責任問題となるリスクをとるよりも、自らの持ち場でやれることはやっていたといえる行動をとるほうが、組織内の行動として合理的だ」とする歪んだ意識が指摘されました。
また、国からの業務改善命令でも、「リスク・専門性の軽視」「現場実態の軽視」「顧客影響への感度の欠如」「言うべきことを言わず、言われたことだけしかしない姿勢」などの真因が厳しく批判されました。
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