三菱電機、日野自動車、豊田自動織機…頻発する企業不祥事の根本原因は「組織文化」にある
ところが、各6事例とも、問題に気づいていた人が多数いたのに、管理職も現場も声を上げませんでした。
なぜ、誰もアンドンの紐を引かなかったのでしょうか?
制度化、合理化、社会化
組織的な不正が長期継続するメカニズムを、アリゾナ州立大学のアッシュフォース教授は、①不正が日常的に妥当性を意識することなく行われるようになる「制度化」、② 不正のトライアングルの一要素でもある、組織内でしか通用しない説明によって不正を正当化する「合理化」、③新たに組織に加わるメンバーに不正が容認されるものと教育する「社会化」の3プロセスが相互に影響し合い、不正の常態化を助長すると解説します。
特に、①の「制度化」とは、
❷ それが追認され、発覚せず、
❸ 前例にならうことへの抵抗感が薄くなり、不正が繰り返され、
❹ 不正を前提とした仕事の流れや評価などに変化した結果、外部から隔離された「社会的な繭」の中で不正を容認する組織文化が形成される。
という一連のプロセスです。
つまり、不正がルーチン(習慣)化し、間違った行動が意識を歪め、その意識が行動習慣化を助長し、組織の仕組みとなり、一人ひとりのDNAとも言える「組織文化」に組み込まれます。
組織事故の研究で著名なジェームズ・リーズン教授は、安全文化づくりには、「報告する文化」「正義の文化」「柔軟な文化」「学習する文化」の4要素が必要だと言いました。
安全と同様に、品質管理や日常運営面でこの要素を欠いた結果、不祥事が繰り返される、と見ることもできます。
ひとたび、正しい文化を築いてしまえば、社員の自律的な行動によって事故や不正は起きにくくなります。
逆に、そうでない場合、各6事例のように、いくら立派な行動指針やマニュアルを整備していても、起こるべくして起きる事故や不正の連鎖に苦しみ続けます。
これは決して、他人事ではない筈です。
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