見えてきた韓国・李在明政権の「実用外交」の中身、対日政策では「反尹錫悦」より「非文在寅」、歴史問題は「屈辱外交」から「小さな違い」へ

韓国大統領選で勝利した左派の李在明(イ・ジェミョン)氏は、2025年6月4日に就任して早々、カナダで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招待国として参加し、外交デビューした。
日本に対しては、歴史・領土問題とその他の問題を切り離して国益重視で向き合う「実用外交」であたる、と語ってきた李氏。過去には過激な発言も多く、日本政府の本音としては、最も避けたかった政治指導者が生まれた。
日本側の警戒感がいまも払拭されたとは言い難い。しかし、にわかにその見方は変わりつつある。それは李氏の掲げる「実用外交」の中身が徐々に見え始めてきたためだ。
歴史問題の切り離し 日本が難色
大統領選で当選する以前、李氏は対日外交のことを問われるたび、「過去の歴史問題や独島(竹島)の問題では私は日本の行動には批判的だ」としながらも、「経済、文化、社会の側面では争う必要はない」「日本とは大局的には協力が必要だ」と説明してきた。
歴史などの問題で対立しても、その他の問題は別途進めるという方策は、韓国で「2トラック」と呼ばれる。徴用工問題で激しく外交対立した、やはり左派の文在寅(ムン・ジェイン)政権も折に触れ、これを訴えてきた。
だが2トラックは実は、かつて日本政府が韓国に求めてきた方策にほかならない。日本政府が、この考え方を許容しなくなったのは、2012年末に始まった第2次安倍晋三政権以降のことだ。
「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げた安倍政権だったが、足元の南北朝鮮や中国には、丁寧に対応しているとは言えなかった。近隣外交の奥行きは狭まるばかりで、いつしか2トラックを受け入れる余裕はなくなった。
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