中国の景気に「生産減速・消費堅調」のまだら模様 トランプ関税の影響が設備投資や輸出を下押し

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買い換え補助金の恩恵で自動車販売は好調だが、中国の工業セクター全体の成長は鈍化している。写真はEV大手のBYDの生産ライン(同社ウェブサイトより)

中国の景気が「まだら模様」の様相を呈している。国家統計局および海関総署(税関)が発表した2025年5月の主要経済指標によれば、工業生産、設備投資、輸出の伸びがそろって鈍化し、アナリストの事前予想を下回った。それとは対照的に、個人消費は予想を上回る強さを見せ、主要指標の中で唯一気を吐いた。

具体的には、生産サイドの代表的な指標である工業生産の伸び率は前年同月比5.8%と、前月より0.3ポイント低下した。一方、需要サイドの代表的な指標である社会消費財小売総額は前年同月比6.4%増加し、伸び率が前月比1.3ポイント上昇した。

「補助金効果」が消費促進

「5月は労働節(メーデー)の大型連休の旅行需要、『618商戦』の前倒し、自動車や家電の買い換えを促す補助金支給などが重なり、社会消費財小売総額の伸びが加速した」。国家統計局の付凌暉・報道官は6月16日の記者会見で、堅調な個人消費の背景をそう解説した。

(訳注:「618商戦」は中国ネット通販業界の毎年恒例の大規模セール。業界大手の京東集団[JDドットコム]が創業記念日の6月18日に始めたセールに由来する)

とはいえ、エコノミストからは6月以降の個人消費の減速を懸念する声も聞かれる。中信建投証券の調査レポートは、個人消費の促進効果が大きい買い換え補助金が5月に速いペースで支給されたため、地域によっては地方政府の予算枠の上限に達し、6月に入って補助金の受け付けが中断されていると指摘した。

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