もはや"主食"とはいえないのになぜ固執?「令和のコメ騒動」がこれほどまでに長期化している3つの理由
農業やコメに国民の関心が集まることは悪いことではない。それでも「コメ高い、何とかしろ」というお決まりの取り上げ方には強い違和感がある。
まず主食とは何か。手元の辞書によると、「飯・パン・めん類など、日常の食事の中心となる食物」とある。家族で食卓を囲むとき、ふつうの食堂で食事をする際にはご飯が欠かせないものだが、実際にコメは「国民の揺るがない主食」と呼べるのだろうか。
農水省によると、国民1人当たりのコメ消費量(2023年度)は年間51キログラムと、小麦の31キログラムを上回って穀類で最大。したがって主食と呼べるかもしれない。
しかし、日本人がコメを一番食べたのは1962年度。1年間に118キログラムだったことを考えると、主食としての地位は確実に地盤沈下が続いている。
コメに支払う金額は小麦の半分
消費者が支払う金額から調べると、「コメが主食」とは言いにくい別の姿が見えてくる。
総務省「家計消費状況調査」によると、2024年に2人以上の世帯がコメに支払った金額は2万7196円。一方、パン(3万4609円)と麺類(2万1214円)を合計した小麦製品に支払ったのは5万5823円で、コメの2倍を超える。

昨年はコメ価格の上昇で差が少し縮まった。パンは加工度が高く、コメ以外の材料費や製造費も含まれているため単純な比較はできないが、長い目で見ると家計から支払うコメと小麦製品の金額の差は拡大傾向にある。
同調査によると、茶類とコーヒー・ココア飲料を合わせた支出額は2万8350円で、コメとほぼ同じ。生鮮野菜(7万4923円)や生鮮果実(3万8915円)と比べると、コメの支出額は多くない。語弊を恐れずに書けば、ペットボトル茶とコーヒーの値段が2倍になるのと、コメの値段が2倍になるのとは、家計に与える影響は大きな違いはない計算だ。
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