「芳根京子の好演が素晴らしい」「本田響矢の抜擢も見事」…。ドラマ《めおと日和》が”推し活的熱狂”を生んだ背景

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ところが、なつ美の瀧昌に対する一途な思いを察した準太郎は、本人に直接感情を伝えることなく自分の気持ちに折り合いをつける。

その後も、夫婦間で喧嘩が発生することはあるが、信頼関係が揺らぐほどのすれ違いには至らず、こちらも平和的に解決される。

恋愛を描きながらも対立や衝突が存在しない、夫婦2人の日常を濃く優しく描いた世界。それはつまり、視聴者にとっても心理的負荷が少なく「推し」にまっすぐ集中しやすい世界、ということなのかもしれない。

とはいえ、2人が生きる昭和11年は日中戦争を控えており、決して甘やかな気分だけではいられないのだが……。

タイパの逆を行く、ゆったり尺のOP曲

ちなみにドラマ公式サイトのイントロダクションには、こんな文言がある。

“昨今、コスパ・タイパ重視される現代社会。しかし本作は、そんな時代とは打って変わり、新婚夫婦の“大切なひととき”を緩やかに紡ぐ。

本作は「コスパ・タイパ」が浸透した時代のネクスト作品なのだ。そんなタイパ主義から距離を取る姿勢をわかりやすく表しているのが、ドラマ冒頭に流れるオープニング主題歌。BE:FIRSTの書き下ろし純愛ソング『夢中』が1分弱、毎週流れて、物語への入り口が丁寧に敷かれている。

本編前にアーティストのオープニング曲が流れるドラマは今では少なくなり、曲を流している間に視聴者が離れてしまうと言われるようになって久しい。そういった昨今の流れとはあえて逆を歩む姿勢が、のんびりした日常を描く本編も含めて“タイパ疲れ”した人々を受け止めたのかもしれない。

トレンドの「推し」需要を満たしつつ、現代の駆け足な消費サイクルに待ったをかけた癒やし系ドラマ『めおと日和』。この反響に、以降のドラマが影響を受けるのか、注目である。

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