社内でじわじわ存在感、“となりのお節介おじさん・おばさん”の底力。サントリーが育てる「愛のあるお節介」、組織に息づく支え合いの文化

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若手社員に話をする嶋村さん
会社から任命された「お節介役」として若手の社員と話をする嶋村さん(右から2人目)(写真:サントリー提供)
とかく煙たがられる「お節介」。「いらぬお節介」は確かに迷惑なこともあるが、お節介な人がこの世の中からいなくなってしまったら、日本はもっと殺伐としてしまう気もーー。
令和にこそ見直したい「お節介」の価値について、フリーランス記者の宮本さおりさんが取材しているシリーズ。今回は企業の取り組みにフォーカスし、サントリーフーズ株式会社が任命している“となりのお節介おじさん・おばさん”を取材しました。

若者の間で「オジ」「オバ」と呼ばれるおじさん、おばさん。

ここに「お節介」という言葉がつくと、なんだか“面倒な人”という印象を持ちそうだが、サントリーフーズ株式会社ではそんなお節介なおじさん、おばさんを「お節介役」として任命、人事部も巻き込んで「お節介役」の育成まで始めている。

活動の名前は「TOO」。

“となりのお節介おじさん・おばさん”の頭文字を取って、若手社員が命名した。すでに発足から10年以上も続いているため社員の間でもお節介役は当たり前の存在という状況にもなってきた。

今では同社だけでなくサントリーの他のグループ会社にも広がってきているというこの活動、いったいどういうものなのか。

すでに発足から10年、社内に定着した"お節介"

TOO活動が始まったのは今から10年ほど前のことだ。

主に国内でのソフトドリンクの製造、販売を行っているサントリーフーズは当時、関西地方の3支店を統合し、一つの支社を立ち上げる計画を進めていた。

しかし、近畿支社立ち上げにあたり支社長になったのは東北支社からきた人だった。それぞれの支店はそれぞれの風土とやり方がある。そのため、統合にあたり社内には少し混乱が起きていた。

そんな折、マネジメント層を支えようと立ち上がったのが、近畿支店立ち上げに関わっていた“役職勇退者”の3人だった。3人は関西地方の支店勤務経験があり、統合される各支店についてよく知っていた。そのため支社長に申し出て、統合に戸惑う社員のサポートや相談などを引き受ける調整役として動き始めたのだった。

この活動が評判となり、人事部の耳にも入るように。2014年の春、活動するメンバーと人事部でミーティングの機会が持たれた。結果、活動を社として仕組み化し、全国に広げていくことになった。

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