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ようやくユーロ導入が決定したブルガリア、反対集会やデモを乗り越えて無事ユーロへの移行を実現できるかは同国経済とEUにとって試金石となる

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  • 土田 陽介 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員

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ブルガリアは早ければ2026年にも独自通貨レフからEU共通通貨ユーロへ移行することが決まった(写真:Bloomberg)
※本記事は2025年6月15日7:00まで無料会員は全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

中東欧の小国ブルガリアは、2007年に欧州連合(EU)に加盟し、以降、統一通貨ユーロの導入を目指してきた。それから20年近い歳月が経ち、ブルガリアは早ければ2026年にもユーロを導入することになった。EUの欧州委員会は6月4日、ブルガリアのユーロの導入のための基準(経済収斂基準)を満たしたと発表した。

ブルガリアでは長らく政局が流動化しており、短命内閣が続いている。一方、そうしたブルガリアの政界にとっても、ユーロ導入は政治的な悲願でありコンセンサスだった。ユーロを導入することは、EU加盟国の“一軍入り”を意味するためだ。隣国のルーマニアのみならず、チェコやハンガリー、ポーランドに先行する意味は大きい。

ユーロ導入に反対する抗議集会やデモも

しかし、そうした政界の悲願とは裏腹に、ブルガリア全土でユーロ導入に反対する抗議集会やデモが生じたようだ。一部のデモは親ロシア派の極右政党「再生党」が支援したもようだ。こうした親ロシア派による扇動は中東欧の各地で生じている。一方で、世論調査でも、ユーロ導入に賛成する国民の声は過半に達していないという現実がある。

ブルガリアの独自通貨レフ(複数形はレヴァ)には、ユーロとの間で1ユーロ=1.95583レヴァという固定レートが導入されている。この固定レートは、カレンシーボード制と呼ばれる特殊な固定相場制度に支えられている。詳細は避けるが、この制度は金本位制に次ぐ強固さを持つとされる固定相場制度であり、崩壊することがまずない制度だ。

言い換えると、ブルガリアはすでにユーロを導入しているようなものである。ブルガリアの最大の貿易相手が自らの属するEUである以上、ユーロを導入したほうが有利なのは明らかである。それでもブルガリア国民がユーロ導入に慎重になっている理由は、自国通貨の喪失もさることながら、やはり便乗値上げに対する警戒感にあるようだ。

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【ユーロ導入と便乗値上げの問題】

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