「若手と話が通じない」のハードルを乗り越えるためにすべき事――「よい対話」を実現するために必要なマインドセット5つ

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世の中では「わからなくてモヤモヤすること」よりも「よくわかってスッキリすること」が重視されることが少なくありません。しかし対話では、むしろ「モヤモヤすること」が大切です。

なぜなら「モヤモヤ」は心に残り続けるからです。

たとえば「自分はこれまで組織についてある程度わかっていると思っていたけれど、あの人の意見を聞いて、その認識が覆されてしまった」――こうした仕方で「しっかりと考えた結果、わからなくなったこと」は、自分のなかに残り続けます。

モヤモヤは、この意味で私たちの思考や行動を突き動かす、とても強いパワーを持っています。

だから、「何かがわからない」ということ自体の発見や、その状態を楽しむ姿勢、他人の意見によって自分が変わっていくことを楽しむ態度が大切なのです。極端にいえば、「5秒前の自分の考えも疑う」くらいの気持ちで臨んでください。

上司の意見に賛成できないときは?

第2のマインドセットは「相手との関係にとらわれないこと」です。

私たちは「政治的なテーマについて話すとけんかになるかもしれないから避けておこう」とか、「年上の人にはこんなことを言ったら変だと思われるかもしれないから言わないでおこう」といった、暗黙の規範にしたがって生きています。

ですが、批判的・創造的に考える際には、どんな「常識」や「普通」も一切関係ありません。

もちろん、相手への配慮や言い方の工夫は必要です。しかし、過度に相手を気にして「いい人であろうとすること」や「上司や先生の言ってほしいこと」を言い当てようとすることを、まずはやめてみる必要があります。

あなたが上司の立場の場合は、「私にはわからない」「考えたことがなかった」と正直に表明していただくと、権力の偏りが崩されることになり、他の参加者が発言しやすくなります。

そうはいっても、「本音を言うこと」ほど私たちの社会で難しいこともないかもしれません。しかし、実はこれ、「言い方」の問題で対処することができるのです。

「上司の言っていることが間違っていると感じたとき」を例に取ってみましょう。

一番避けたいのは「その通りだと思います」と言って、そのまま肯定してしまうことです。あるいは逆に、正面から「それは完全に間違っています」と言ってみたとしても、うまくいかないかもしれません。

まずは「なるほど」とか「そうなんですか」などと言って、聴く姿勢を示してみるのはどうでしょうか。この動作がないと、頭ごなしの否定だと思われる可能性があるからです。つまり、それを直接的には肯定することなく「受け止めて」みるのです。

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