後天性の内斜視では「複視」といって、ものが二重に見える症状が出る。遠くを見るとものが二重に見えることから始まり、ひどくなると近くのものも二重に見えるようになる。
親に言わないで症状が悪化
「中高生くらいの年代は、複視があっても親には訴えず、放置する傾向があります。日常生活に支障が出るほど程度が悪化すると、手術するしかなくなりますが、早期であれば、視聴時間を減らしたり、ボツリヌス毒素の注射をしたりすることで改善を期待できます」(佐藤医師)

ボツリヌス治療は、12歳以上の斜視に健康保険が適用され、1回の注射で効果が持続することもある。効果が十分でなければ、追加の治療も可能だ。
佐藤医師らの研究を根拠に、今年6月には日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会が、「若年者の後天共同性内斜視に対する提言」にて、斜視を予防するデジタル機器の視聴方法や受診の目安などについて提示している。
(取材・文/中寺暁子)

佐藤美保
1986年、名古屋大学医学部卒。米国留学、名古屋大学眼科学講師を経て、2002年に浜松医科大学眼科学教室助教授に。2011年から浜松医科大学医学部附属病院の病院教授を務め、2025年4月から現職。日本眼科学会専門医・指導医。日本弱視斜視学会前理事長。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら