【子どもの斜視】乳幼児では”見る力”の成長に影響を及ぼして「弱視」になるおそれも。子どもではスマホが原因に《専門医を取材》

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生まれつきの斜視の場合は、手術が検討される。眼を動かす筋肉をずらす手術で、1つの筋肉をずらすのにかかる時間は15分程度。ずれの程度などに合わせて、2~3カ所の筋肉をずらすことが多い。

大人の場合は局所麻酔で手術できるが、子どもは全身麻酔で実施する。

「斜視の手術を専門とする眼科医は限られていることと、全身麻酔の設備が必要なので、専門病院に行く必要はありますが、手術そのものは難度が高いものではなく、大きな問題となるようなリスクはありません。早いケースなら、生後半年くらいで手術をすることもあるほどです」(佐藤医師)

ときどき外斜視になる程度であれば、見え方の発達に影響を及ぼす可能性は低いので、すぐに手術をすることはないと、佐藤医師。斜視ではないほうの眼をアイパッチで隠して、ものを見る力をつけるトレーニングが有効なこともある。

一方、遠視による斜視の場合は、適切なメガネをかけると視力が発達し、斜視も改善する。できるだけ早くメガネをかけることがポイントで、1歳ごろからメガネをかけ始める子もいるという。

「使っていると本人もメガネをかけているほうがよく見えることがわかるようで、嫌がらないでかけてくれます。今はさまざまなタイプのメガネフレームがあるので、すぐに外してしまう子でも、根気よく合うものを探してほしいと思います」(佐藤医師)

メガネをかけて3カ月くらい経つと斜視は改善していくが、メガネを外すともとに戻ってしまうことも多い。生涯メガネが必要になることもあり、個人差は大きい。なお、9歳未満の子どもが斜視の治療のためにメガネを作成した場合、費用の一部が健康保険から補填される。

スマホによる内斜視が増加

斜視については近年、スマートフォンなどのデジタル機器を長時間視聴することによる、後天性の内斜視が問題となっている。

そこで佐藤医師らは共同研究として、5歳から35歳の後天共同性内斜視の患者194人を調査。発症は16歳をピークに中高生に多く、デジタル機器の視聴時間が過剰な人は視聴時間を減らすなどの指導を受けたことで、44%は斜視の程度が改善、6%は治癒したことなどが明らかになった。

なぜ、デジタル機器の長時間視聴で斜視になるのか。それは<デジタル機器の長時間の視聴→近くで見続ける→眼が内側に寄り戻りにくくなる>という理由とともに、<デジタル機器の長時間視聴→近視進行→ますます近づけて見る→眼が内側により戻りにくくなる>という悪循環が考えられている。

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