SiCパワー半導体大手の米ウルフスピードが破産危機→提携先のルネサスは2800億円減損リスク、巨額投資のロームは赤字転落で方針転換
SiCパワー半導体が一般的なパワー半導体と大きく異なるのは、そのサプライチェーンの構造にある。
SiCパワー半導体の原料となるSiCウェハーは、製造・加工の難易度が非常に高い。加えて、市場規模がシリコンウェハーに比べて圧倒的に小さいため、シリコンウェハーで世界トップの信越化学工業やSUMCOといった企業は、SiCウェハーの製造には参入していない。
結果として、従来のパワー半導体とは全く異なるプレーヤーによるサプライチェーンができている。
長年SiCを手がけてきたウルフスピードは、SiCパワー半導体そのものだけではなく、ウェハーまでを自社で生産している。ウェハーは、ほかの半導体メーカーにも外販している。
足元での市場環境の変化に加え、ウルフスピードからの調達というサプライチェーンが崩れたことで、ルネサスはSiCの開発そのものを中断する事態となっている。
“オールイン”してきたローム
一方で、SiCパワー半導体に対して“オールイン”してきたのが、半導体メーカーのロームだ。2024年度には、SiC向けの工場を中心に176億円の減損損失を計上。SiC以外の半導体の低迷も相まって、500億円の最終赤字に沈んだ。
これまでにSiC向けに2000億円以上の投資を行ってきたことを踏まえれば、今回の減損の金額は限定的となりそうだ。
市場の構造が一気に変わった中でどう戦うのか。SiC市場をめぐる半導体メーカーの苦悩は深まるばかりだ。

ルネサスエレクトロニクスの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら