WWDC25を前に、iPhone製造のアメリカ回帰圧力と世界各国のアプリ市場規制で、アップルのビジネスモデルが根本的な変更を迫られている
電子機器は、国別の追加関税から、品目別の関税に移行すると見られている。つまり中国で作ろうが、インドで作ろうが、追加関税が10%の最低税率となるブラジルから運んでこようが、iPhoneにかけられる関税は25%もしくはそれ以上となる可能性が高い。
つまりアメリカ以外の国で作られたiPhoneを持ち込む段階で、関税が不可避な状況に追い込まれてしまったのだ。となると、コストをかけて中国依存を解消したところで、アメリカ製造にならなければ、大きなメリットがなくなってしまった。
ちなみに、関税はアメリカにものが入ってくる時にかけられ、基本的には消費者が購入する価格に転嫁されることが多い。場合によってはアップルが利益を圧縮して負担することも考えられるが、いずれにしてもアメリカの消費者は、トランプのせいでiPhoneを高く購入せざるをえない状況が、早ければ今年の9月の新製品から始まることになる。
盤石だったアプリビジネスにも国際的な包囲網
6月に開催される世界開発者会議WWDC25で、何らかの説明や方向性を示さなければならないトピックがもう一つある。それは、App Storeにまつわるビジネスモデルの話だ。WWDCの盛り上がりも、アップルがアプリを消費するユーザーをたくさん集めているからこそ。最新情報をいち早くキャッチして売れるアプリを作ろうという、競争の場でもあるのだ。
しかし、このApp Storeのビジネスに対して異を唱えたのが、欧州委員会(EU委員会)だ。
競争法に位置づけられる「DMA」(Digital Markets Act)でアップルを、「ゲートキーパー」と位置づけ、競争上の支配的な行為の禁止と是正を求めるようになった。
アップルはすでに、App Storeのビジネスが反競争的であるとして、4月23日に5億ユーロ(日本円にして800億円)の制裁金を課し、60日以内のビジネスモデル変更まで求められているのだ。
日本でも、12月に施行される、EUのDMAを倣ったスマホ新法(スマートフォンソフトウェア競争促進法)で、アップルはプラットフォーマーと指定され、アプリ市場の寡占状態を打破するための法律の監視下に入る。
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