「おせっかいになろうよ」、初の"非パナソニック出身"社長が《ガンバ大阪》に吹かせる新たな風

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営業に関しても、“おせっかいの精神”を積極的に発揮するように促す。近年のガンバは20億円以上のスポンサー収入を稼ぎ出している。パナソニックグループからの広告収入も少なくないが、「ガンバシスト」と呼ばれる近隣地域の3万~50万円のスポンサー企業が400社以上あり、看板広告を出している企業も120社を突破。足で稼ぐ地道なアプローチを以前から続けている。

ガンバシストとのやり取りの中で、相手の意向や考えを熱心に聞いて、親身になって要望をくみ取り、具体的な形にしていく「提案型営業」を増やせれば、地元企業との関係性はより強固なものになる。それが水谷社長の理想というわけだ。

「大阪は大都市というイメージがあるかもしれませんが、中小企業が大半を占めている街。義理と人情でつながっているところが少なくないと感じます。そういう方々を大切にしなければ、ガンバの将来が開けてこないですし、地域密着も進みません。身近なところにいる人たちが試合の結果を気にしてくれるかどうか、月曜日の昼休みの話題になるかどうかが勝負だと僕は思うんです。

大阪の場合は阪神タイガースという巨大なスポーツ球団があって、つねに人々の関心を集めていますけど、ガンバがそれに匹敵する存在になれば一番いい。そのためには営業するしかない。湘南のとき以上に頑張らないといけないと思っています」

唯一“生かしたくない”湘南での経験

水谷社長は今年から大阪に単身赴任しているが、時間を見つけては地元の飲み屋や商店街に足を運び、ガンバが話題になっているかを気にしているという。「飲めない酒を無理して飲んでますよ」と本人も冗談交じりに話していたが、まずは基盤固めをするところからがスタートなのだ。

生え抜きのキャプテンとしてチームを牽引する、元日本代表の宇佐美貴史 ©GAMBAOSAKA

「湘南時代の経験はあらゆる面で生きてくると思いますが、1つだけ生かしたくないのが『勝っても負けても動じない』ということ。湘南では残留争いに巻き込まれることが多くて、負けるたびに落胆していたら周囲に影響するので、耐性が強くなっていたのかなと思います。

でも、ガンバの場合は負けに慣れてはいけない。今季は2月14日のセレッソとの大阪ダービーで開幕し、黒星発進してから苦しい時期が続いていますが、宇佐美貴史を筆頭にタレント力はありますし、もっと上に行けるはずなんです。

現場を後押しするためにも、われわれフロントが“おせっかいの精神”を持って、『勝点3につながる活動』を日々、推し進めていけば、クラブも現場も必ずいい方向に進んでいく。そうなるように全力を尽くします」

つねに気さくで年長者からも若者からも好かれる水谷社長のオープンなマインドは、老舗クラブを少しずつ変化させていくはず。まずは2025年中盤以降の動向を冷静に見守りたい。

後編に続く)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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