アメリカ技術輸出の見返りに「総額285兆円」投資と「豪華な大統領専用機」──AI大国を目指す中東諸国のなりふり構わぬトランプ操縦策

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トランプ政権は、NvidiaがUAEに最新GPU「Blackwell」を最大で年間50万個輸出することを許可した(写真:© 2024 Bloomberg Finance LP)

長年オイルマネーに支えられてきた中東諸国が今、莫大な資金を惜しみなく投じてアメリカをしのぐほどのAI(人工知能)開発センターになろうとしている。

先月中旬、2期目の就任後初の外遊先として中東地域を選んだトランプ大統領はサウジアラビアやUAE(アラブ首長国連邦)、カタールなど湾岸諸国を3日間かけて歴訪した。

このツアーにはOpenAIやグーグル(アルファベット)、Nvidia、AMDなどアメリカを代表するAI・半導体メーカーのCEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)らも加わり、中東各国の政府・企業関係者らと膝をつめて交渉した。

結果、アメリカのメーカーから湾岸諸国に年間100万個程度のGPU(AI半導体)や高度なAI技術を輸出することが許可され、これらを使ってUAEの首都アブダビに総電力5ギガワットに及ぶ世界最大級のAI開発キャンパスを建設する計画などが発表された。

この見返りにアメリカに対して、サウジアラビアからは今後4年間で6000億ドル(約85兆円)、UAEからは今後10年間で実に1兆4000億ドル(約200兆円)もの巨額投資が行われるなど桁外れのディールが成立した。

王族の指導者が直接交渉の場に出向く

これらアメリカによる中東地域へのAI技術供与は、前バイデン政権の外交政策からは180度の転換となる。

ここ数年、UAEやサウジなど湾岸諸国は、石油に依存する従来の経済体制からIT・AIなどハイテク産業を中心とする国家へと脱皮を図り、アメリカ政府あるいはOpenAIやグーグルなどIT企業への接近を試みてきた。

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