アメリカ技術輸出の見返りに「総額285兆円」投資と「豪華な大統領専用機」──AI大国を目指す中東諸国のなりふり構わぬトランプ操縦策
Tier2には、それら以外の大多数の諸国が含まれる。たとえばアジアではインドやシンガポール、中東ではサウジアラビア、UAE、イスラエル、カタール、トルコ、中南米ではブラジル、メキシコなど。
これらの国々には、OpenAIやNvidiaなどアメリカ企業が何らかの制限付きでAI関連製品を輸出できる。たとえば、GPUについては最大で年間約5万個という輸出上限が課せられた。
最後にTier3には、事実上アメリカと敵対する「中国、ロシア、イラン、北朝鮮、キューバ、アフガニスタン」など24カ国が指定された。これらの諸国にはAI関連製品の輸出が完全に禁止された。
AI輸出規制の撤廃を求めてトランプ大統領に露骨な働きかけ
これら諸国のうち「Tier2」に分類された国々、中でも「世界のAI開発センター」を目指すサウジやUAE、カタールなど湾岸諸国の指導者らは不満を募らせた。
当初、この「AI拡散規則」は今年5月15日に施行される予定だった。その日が訪れる前に何とかこの規制を撤回させようと、湾岸諸国はトランプ政権ひいては大統領自身への働きかけを強めていった。
中でもUAEはなりふり構わぬ動きに出た。(前述の)シェイク・ターヌーンが(G42と同じく)会長を務めるUAEの政府系投資会社MGXは今年5月1日、トランプ大統領の家族が株式の60パーセントを保有する暗号資産企業「World Liberty Financial(WLF)」の発行するステーブルコイン「USD1」を使って、世界的な暗号資産取引所「バイナンス」に20億ドルを投資すると報じられた。これによってUSD1、並びにWLFの信用と時価総額(つまりトランプ家の富)は大幅に増加した。
さらに今年5月11日、今度はカタールの王族からトランプ大統領に豪華な「ボーイング747-8」旅客機が寄贈され、これが改造されて大統領専用機「エアフォースワン」になる計画が報じられた。大統領もこれを受け入れる意向を示した。
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