
太陽光発電や風力発電の世界的な導入加速を背景に、電力を一時的に蓄える蓄電システムの需要が海外市場で高まり、中国メーカーの受注が急増している。
業界団体の中関村儲能産業技術連盟がまとめたデータによれば、2025年1~3月期に中国メーカーが海外の顧客から受注した蓄電システムは前年同期の約8.5倍の100GWh(ギガワット時、蓄電能力ベース)に迫った。
地域別で需要拡大が目立つのはオーストラリア、ヨーロッパ、中東、北アメリカなどだ。
豪州やサウジで大型受注
例えば太陽光パネル大手の阿特斯陽光電力集団(カナディアン・ソーラー)傘下の阿特斯儲能(e-STORAGE)は2025年2月、デンマークのコペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)がオーストラリアで進める「サマーフィールド・プロジェクト」向けに960MWh(メガワット時)の蓄電システムを供給する契約を獲得した。
(訳注:CIPは再生可能エネルギー関連投資に特化した世界的なファンド運用会社)
また、電池大手の比亜迪(BYD)傘下の比亜迪儲能(BYDエネルギー・ストレージ)は同じく2月、サウジアラビアの国営電力会社であるサウジ電力(SEC)から12.5GWhの蓄電システムを受注。このプロジェクトは送電網に統合される蓄電システムとしては世界最大級であり、すでに接続済みの2.6GWhと合わせた蓄電能力は15.1GWhに上る。
海外からの受注のほとんどはリチウムイオン電池を用いた蓄電システムだが、その他の新方式にも受注事例が出てきた。例えば、バナジウム・レドックス・フロー電池(VRFB)と呼ばれる新型蓄電システムの開発を手がける中和儲能科技(ZHエネルギー)は、メガワット級のVRFBをヨーロッパのプロジェクト向けに納入したと発表した。
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