【野田佳彦・単独インタビュー(前編)】「なぜ食料品の消費税率ゼロなのか?」根底の思想と制度設計を語る
塩田:13年前の民主党政権の野田内閣時代に、首相として「社会保障と税の一体改革」の構想に沿って、当時の野党の自民党、公明党との協議で「3党合意」を実現し、消費税率引き上げに道をつけました。野党第1党の党首に就任した今、基本的には消費税の問題については、どういう姿勢と方針で臨むべきだとお考えですか。
野田:消費税は社会保障を充実・安定させていくための重要な財源と位置づけています。だから、社会保障と税の一体改革をやりました。人生のどこかで必ず必要となる医療、介護、障害者福祉、子育てなどのベーシック・サービスについては、私は所得制限なしで国として責任を持って供給する体制を造りたいと思っています。「困った人、弱った人のための政治」ではなく、「困った人、弱った人を作らない政治」が私の理想です。
ですが、現在の財政状況などからすると、一挙にできない。どちらかというと、人生の中でも前半の部分に当たる子育て支援、教育のほうに、まずベーシック・サービスという形で導入していく。それから、だんだんとしっかり対応できるようにしていきたい。消費税はそのための社会保障の重要な財源という位置づけです。
塩田:立憲民主党が掲げる「1年間、食料品の消費税率ゼロ」という案が実現すれば、税収減は年間で約5兆円と言われています。
財源の手当てはできる
野田:必ず財源の手当てをするように制度設計を、と言っています。1年だったら、「ワンショット」でできると思う。基金に7~8兆円、積みすぎているものがありますから。
1年で間に合わない場合には、やはり恒久財源もしっかりと実現する。それには、法人でも個人でも「応能負担の原則」をもっと的確にやっていく。例えば、1億円以上の高額所得者の所得税率の負担が下がるという現在の制度はおかしい。金融所得の問題も含めて見直しして、取るところから取って、配るところには配るというシンプルな原則を当てはめる。恒久財源の設計はあると思います。
臨時・時限的な措置ですから、元に戻さなければなない。初めから法律でしりを決める。1年としますが、経済情勢によっては、もう1回、延長ができるということです。消費税の税率は1回下げたら元に戻らないのでは、という見方がありますが、そういう国ではいけない。ヨーロッパには先例がありますが、「雨が降ったら傘をさす、雨が止んだら」という路線で比較的柔軟に現実対応してきたのが欧州だと思います。日本も臨機応変にできるようにしなければいけないということです。
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