元なでしこ・宮間あやさん(40)突然の引退から9年。「大切なものを守るために、自分はどうなってでもがんばりたい」表舞台に戻ってきた理由

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そうした彼女の気遣いによって、スタメン組とサブ組は温度差をなくし、控え選手のモチベーションは維持された。筆者は20年近くスポーツの現場にいるが、そこまでチームのために動く選手を、後にも先にも宮間以外に見たことはない。

「単純にみんなと一緒にいるのが楽しかったんですよ。私は仲間が楽しんでいるところを見ると楽しい。反対に、仲間が悲しんでいるとすごく悲しくなる。私にとっては絶対に傷つけられたくないものが仲間だったので、大切なものを守るために、自分はどうなってでもがんばりたいという覚悟でした」

仲間の楽しみや喜びは自分の楽しみであり喜び(写真:今井康一撮影)

表舞台に戻ってきた理由

宮間は今、ワールドカップをともに戦った指揮官、佐々木則夫日本サッカー協会女子委員会委員長の補佐を務めている。「これまでいろいろなお話をいただきましたが、自分にできる役割を見出せず、お断りしてきました」と話す宮間がこの役職を引き受けたのもまた、“仲間”のためだ。

宮間が言う“仲間”とは、特定の大会やチームでともに戦ったチームメイトだけを指すのではない。

自分がサッカーを始める以前から女子サッカーを脈々とつないできた先輩たち。同世代のチームメイト、対戦相手。そして、今現役でプレーをし、再び世界一になることを目指している後輩たち。

女子サッカーという競技に携わるすべての人のことを含んでいるのだと、このインタビューを通して強く感じた。

彼女らの世代が代表ではなくなってから、高倉麻子ジャパン、池田太ジャパンと続き、昨年ニルス・ニールセン監督が就任した。

「ワールドカップ優勝メンバーで、その間日本代表で居続けたのは、熊谷紗希と岩渕真奈、鮫島彩、阪口夢穂。私たちの世代が先輩から受け継いできたものを、この少ない人数でつないでいくのは、かなり酷だったと思います。サッカーの戦術的な面でもメンタルの面でも、うまく世代交代ができなかったことに関して、年を経るごとに申し訳ない気持ちが大きくなっています」

だから、戻ってきた。

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