元なでしこ・宮間あやさん(40)突然の引退から9年。「大切なものを守るために、自分はどうなってでもがんばりたい」表舞台に戻ってきた理由

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14年前、女子ワールドカップ開催地のドイツに渡る前、なでしこジャパンは愛媛県松山市で国内最終合宿を行った。5~6人の報道陣が待つ取材エリアに、いつものように最後に現れた宮間は、しっかりと前を見据えてこう断言した。

「ここからワールドカップが終わるまで、1日も優勝するという目標を忘れず過ごしたい」

「すごいことを言う人だ」。現地にいた筆者は思ったのだが、宮間は当時を振り返ってこんなふうに話した。

「優勝しますというのは、どんな大会に臨むときにも言っていますね。優勝を目指さないのであれば、大会に出る資格はないと思っているので。でも、過去に優勝した経験はなかったので、あのときも優勝する想像はできてなかったです」

想像はできていなかったが、覚悟は決まっていた。彼女にとって「覚悟は、一生のキーワード」だった。

W杯での「覚悟」について語る(写真:今井康一撮影)

「なでしこ」が世界一になれた理由

「勝ってもいい覚悟がなければそこに立ってはいけないし、負ける覚悟もしていないといけない。すべてにおいて、自分の人生を懸ける覚悟がなければ、日本代表として日の丸をつけてピッチに立つ資格はないとずっと思っています。試合に出る覚悟も、出られなくてもチームをサポートする覚悟も、途中から試合に出る覚悟もそうです。全員がチームのために自分の役割を果たす覚悟があったからこそ、優勝という結果を得られたのだと思います」

覚悟が決まっていなければ、多くの場合よい結果は生まれない。一方で、覚悟が十分にあったとしても、結果を得られないときもある。

結果を出せる組織とそうでない組織、その明暗を分けるものはどこにあるのだろう。宮間は、なでしこジャパンが世界一になれた理由を「運」だと言い切る。

「当時の自分たちの実力は、アメリカやドイツと10回試合をして1度勝てるか勝てないかの力関係でした。だから、14年経った今考えても、運でしかないなと思います。逆に言うと、さまざまな努力や準備を積み重ねて、そこに運が乗っかれば勝てる、とも考えています」

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