イーロン・マスクが「6月開始」を明言するテスラのロボタクシーサービス、テスト走行未実施で疑問の声

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オースティンでロボタクシーサービスを開始するにあたり、この無監視FSDを実現可能にするのが、ジオフェンス方式だと考えられる。マスク氏は以前、当初のロボタクシー事業では「地域固有のパラメータセットが使用される可能性がある」と述べ、ジオフェンスについては明言しなかった。

テスラのロボタクシーに対する疑問

すでにWaymoがやっているのと同様のことをするのなら、それほどハードルは高くないかもしれない。だが、それでもテスラがすぐにロボタクシーサービスを開始できると考えるのは難しい理由がいくつかある。

Waymoは、ジオフェンスで区切られたサービス提供エリアの道路環境を3Dデータとしてマッピングしたうえで、自社の完全自動運転車両が安全に走行できると確信する現在の形に仕上げるまでに、オペレーターを乗せた車両数百台を、延べ何千万kmにもわたって走らせ、これに約10年の年月をかけた。

一方のテスラは、6月からロボタクシーサービスを開始すると述べている。しかし、テスラは4月の段階でまだオペレーターが搭乗しない無人状態での公道テスト走行を行っておらず、スケジュール的に6月にサービスを開始できる可能性は低いことがメディアなどから指摘されている。

ほかにも問題はある。テキサス州公安局(DPS)は、ロボタクシーサービスにおいて何らかの緊急事態が発生した場合に、何が起こり、どのように対応するかをまとめた緊急対応ガイドライン文書をまだ受け取っていないと述べている。

また、ロボタクシーという名称についても、問題が発生している。米国特許商標庁(USPTO)は、テスラからの「ロボタクシー(Robotaxi)」の商標登録申請を却下し「サイバーキャブ(Cybercab)」の同申請を一旦停止した。

その理由は、サイバーキャブに対しては他社がすでに同様の「サイバー」と名前に付く商標を出願しているため、いったん停止の措置が取られていることが理由とされた。ちなみに、サイバーキャブは発売が今年8月の予定だったが、最新の情報では2026年まで遅れる見込みとされているため、とりあえず申請が一時停止されても慌てることはなさそうだ。

ロボタクシーに関しては、抵触する商標は存在しないものの、この名称が「単に記述的」、つまり商品の生来的な識別性や顕著性を持たず、「Robotaxi」という言葉がすでに「他社の類似の商品やサービスを説明するためにも使用」されているため「商品やサービスの文脈において一般的な文言であるように思われる」として、却下したという。

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