イーロン・マスクが「6月開始」を明言するテスラのロボタクシーサービス、テスト走行未実施で疑問の声

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ただ、ジオフェンスを使うことは、マスク氏にとっては大きな方針の転換でもある。マスク氏は長年、あらゆる場所に設置することができ、人間の監視なしで使える汎用自動運転ソリューションを開発できると主張してきた。これはエリアが制限されるジオフェンスとは異なるものになると考えられた。

だが1月の話に続いて、4月に行われたテスラの第1四半期決算発表でも、マスク氏はジオフェンス導入の構想を示唆した。ただ、やはりマスク氏はジオフェンスという言葉は使わず、初期のロボタクシー事業では「地域固有のパラメータセットが使用される可能性が高まっている」とだけ述べていた。

ドライバーが運転する必要がない「無監視FSD」

マスク氏は、昨年10月のロボタクシーを発表したイベントの場で「テキサス州とカリフォルニア州でModel 3とModel Yを使って無監視FSDの試験を開始する」と述べた。

現在のテスラ車に搭載されているFSDオプションは、より正確には「監視付きFSD」と呼ばれるものだ。FSDは「Full Self Driving」、直訳すると「完全自動運転」の意味だが、ここで言う監視とは、ドライバーが常に覚醒状態にあり、車両周囲の状態を自ら目視確認し、なおかつハンドルを握っている状態のことを指す。

この状態は、米自動車技術会(SAE)の定める自動運転レベルの定義で表すなら、レベル2に該当する。この定義では、レベル3以上が一般的に自動運転と呼ばれる。つまりテスラのFSDオプションは、正確には自動運転ではなく、運転支援のレベルでしかない(Waymoがアメリカで展開している自動運転タクシーは、レベル4だ)。

一方「無監視FSD(Unsupervised FSD)」という言葉は監視付きFSDと区別するために持ち出された言葉で、ドライバーがハンドルを握る必要も、走行時に周囲の安全を確認する作業もない、誰もが想像する完全自動運転機能を有することを意味する。

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