【変わるサービスエリア】無人販売「蓮田GO」に地元自治体との提携も…東北道「蓮田SA」は好事例となるか?

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東部湯の丸SAでは極小店舗としてパッケージ化された店舗型の設置だったが、蓮田SAではさらに省スペースで設置可能な陳列棚型となっており、通路に面していて視認も容易だ。

パサール蓮田に置かれた無人販売店舗(筆者撮影)
パサール蓮田に置かれた無人販売店舗(筆者撮影)

商品棚には商品を取ったことが重さの変化でわかるセンサーが、そして棚の上部には利用者を認識するカメラがあって、レジでは商品をスキャンする必要もなく、レジの前に立つだけで自動的に精算ができる仕組みをとっている。

現在、さまざまな業種で人手不足が叫ばれているように、高速道路の休憩施設もその影響を受けている。SA/PAは原則として365日無休であり、店舗の営業時間も長い。一部には24時間営業のところさえある。

しかも、SA/PAは当然のことながら市街地ではなく郊外、場合によっては近隣に住宅がないような山間部に設置されているところもあり、働き手の確保という点ではハンディキャップを負っている。

パサール蓮田の一般駐車場側の入口(筆者撮影)
パサール蓮田の一般駐車場側の入口(筆者撮影)

大型のショッピングモールなどは、従業員の確保という意味でより手ごわいライバルだ。無人店舗は、大手コンビニなどでも実験的な試行が続いているが、高速道路ではより喫緊の課題だともいえる。

さらにSA/PAは、似た業態として自治体などが設置する「道の駅」とも競合する。道の駅は、すでに全国で1000カ所を超えており、飽和状態と見る向きもあるが、自治体にとっては地域の拠点となる期待もあり、今も新設が続く。

旬撰市場には蓮田市内で生産された野菜なども並ぶが、道の駅でも見られる光景だ(筆者撮影)
旬撰市場には蓮田市内で生産された野菜なども並ぶが、道の駅でも見られる光景だ(筆者撮影)

最近のトピックとしては、茨城県那珂市での新設計画への住民の声があげられる。

常磐道那珂(なか)IC近くに、地元の那珂市が道の駅の新設を計画したものの、近隣の常陸太田市や常陸大宮市にもすでに道の駅があり、市が税金を投入しても期待通りの利益が出るかどうか疑わしいとして一部の市民から反対の声が上がっているというのだ。

蓮田の取り組みは好事例になる

スマートICが次々と増設されて、気軽に高速を降りて近くの道の駅に寄れるような状況もあるし、そもそも少子化や若者のクルマ離れも叫ばれる中、いつも利用者でにぎわっているように見えるSA/PAも安泰とはいえない。

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冒頭の地元自治体とSAの運営会社との「連携と協働」は、蓮田市側だけでなく、SA側にとってもSAが地域の核となるような取り組みだといえそうだ。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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