シラスが"獲り放題"になっている…魚が獲れないのを海のせいにする日本のヤバさ

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漁獲量は右肩下がりに減少し続けています。しかしながら黒潮大蛇行がその減少傾向に大きな影響があるとは見て取れません。一方で、大蛇行の有無にかかわらず減り続けていることがわかります。

農林水産省とJAMSTECのデータを筆者が編集

東海地方や関東地方(特に静岡寄り)の海域の漁獲量が少ないとは言いませんが、これらの海域は、もともと北海道・三陸・九州・日本海といった主力漁場になっている海域に比べ漁獲量は多くありません。

主に沖合で漁獲されるサンマ、スルメイカ、サバ、シラスといった国民の食卓に身近な水産物の漁獲量が激減しています。そしてその原因として挙がる黒潮大蛇行ですが、これらの主要漁場と蛇行している海域はかなり離れています。魚が減り続けて深刻な状況になっている公海(サンマなど)、日本海(スルメイカなど)などの漁場からは遠く離れているのです。

沿岸で漁獲されるシラスと黒潮大蛇行

次のグラフはシラスの漁獲量推移に黒潮大蛇行期間を当てはめて示したものです。青の折れ線グラフがシラスの漁獲量で、赤〇は黒潮大蛇行があった年を示しています。どこどこの県や湾で豊漁・不漁といったミクロ視点ではなく、日本全体のシラスの漁獲量というマクロ視点で示しています。

農林水産省とJAMSTECのデータを筆者が編集

このグラフからみて赤〇の黒潮大蛇行の発生で、シラスの漁獲量が減ったという分析になるのでしょうか? それどころか1980年代の半ばでは、黒潮大蛇行の時期にシラス漁が増えて、収まったのちに漁獲量が減っています。

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