シラスが"獲り放題"になっている…魚が獲れないのを海のせいにする日本のヤバさ

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黒潮大蛇行は1985年以降で4回起きています。近年では2017年から発生し7年以上続いていたことで過去最長となっていました。次の図は、黒潮大蛇行の有無を今年(2025年)5月(左・解消)と3月(右・蛇行中)で比較したものです。

黒潮大蛇行解消(2025年5月)と黒潮大蛇行(同3月) (出所:気象庁)

魚が獲れないのは黒潮大蛇行のせい?といったように、その原因としてこの言葉がしばしば出てきます。魚が消えていく理由を環境要因、特に海水温上昇にするのには便利な言葉です。

もちろん影響がまったくないと言っているわけではありません。しかし科学的に分析すると、黒潮大蛇行と漁獲量の関係でさまざまな矛盾が浮き出てきます。確かに浅い沿岸の海域では、海藻の生育や漁業などで影響を受けやすくなります。

しかしながら、該当海域から遠く離れている、もしくは深い沖合で操業している漁業への影響とは、分けて考えたほうが妥当です。

黒潮大蛇行はどれほど漁業に影響していたのか

次の図は、黒潮大蛇行の概念図を示しています。点線の分岐流が関東から東海にかけて影響して海水温が上がりやすい構造になることが見て取れます。

(出所:JAMSTEC)

ところで先ほどの図での黒潮大蛇行が影響している海域は、魚がたくさん獲れる北海道や三陸沖や日本海側といった主要な漁場からかなり離れています。果たしてどこまで日本の主要な漁業に影響しているのでしょうか。

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