1人当たりGDP成長率を左右する労働生産性の上昇率(年平均)は1970年代の4.3%から1980年代が3.1%、1990年代が0.9%、2000年代が0.7%、2010年以降が0.4%と長期にわたって低下し続けている。
労働生産性上昇率の低下は、高齢化によるのだろうか。
一般的に、年齢別の労働生産性、年齢別の賃金カーブはいずれも逆U字型(年齢あるいは勤続年数を重ねるにつれ上がった後、下がる)を描くとされている。
ただし、企業は若年期に労働生産性を下回る賃金を支払い、高齢期に労働生産性を上回る賃金を支払うという「後払い賃金仮説」により、賃金カーブの傾きは労働生産性のカーブよりも傾きが急で、労働生産性は賃金よりも早いタイミングでピークを迎えるとされている。

ここで、年齢階級別の労働生産性が年齢階級別の賃金に連動するという仮定を置いて、1970年以降の労働生産性の変動を「年齢階級別の労働生産性の変化」と「年齢構成の変化」に要因分解する。
各年齢階級の労働生産性が上昇すれば、全体の労働生産性も上昇する。年齢構成の変化については、労働生産性が相対的に低い年齢層の割合が高まれば、全体の労働生産性は低下するため、高齢化の進展は労働生産性の低下要因になると考えられる。
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