「また転売ヤーの仕業か…」「企業も対策してよ」日に日にヘイトが集まる“転売ヤー”は、なぜ日本で爆増したのか? 本人たちに聞いてみた

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罪悪感があまりないからなのか、「同じアイドルを推している他のファンにチケットやグッズを高額転売する」「同じ年ごろの子育てをしている人におもちゃを高額転売する」という仲間のような立場の人を利用するケースも見かけます。

このあたりのドライな感覚も転売ヤーが批判されやすいところでしょう。

“推し”のためなら高額でも買う

次に、なぜ人は転売ヤーから買ってしまうのか。

特に2020年代以降、“推し活”が世代を越えて広がり、「ほかのことを我慢しても推しにお金を注ぎ込む」という人が増えました。好きなものに対する適正価格の概念が緩くなり、高額転売に対しても「自分にとっては高くない」「高いけど買う価値がある」という人が増えた感があります。

ある転売ヤーは、「本当にほしい人は金額よりも『自分が落札できそうか』だけを考える」「多くのお金を払う悔しさより、手に入れたうれしさが勝つ」などと買う人の心理を話していました。転売の成功体験があるからこそ、買う側の心理をつかみ、強気の高額設定につながっていくのでしょう。

また、あるアイドルの推し活をしている女性は「高額転売で買っても推しのためにはならないけど、自分の知っている人が得するわけではないからあまり気にしない」と言っていました。さらに転売禁止されているものを買うことについても、「推しの運営側にはたくさんお金を使っているので、このくらいは許してほしい」と語っていたのです。

このような自分本位の意識が高額転売を助長し、市場を歪めているところは否めません。もともと「高額でも買う人が多い」から転売ヤーという立場が成立するのであって、購入者には詐欺などのリスクもあるだけに、意識を変えていくことが必要でしょう。

2020年にはマスクの高額転売が増え、これを政府が禁止したものの、抜け道のような形で転売行為を続ける人がいました。

一方、マスクの転売購入者に尋ねると、「買えない人には申し訳ないと思うけど、自分と家族を守るためには買うしかない」と釈明していました。このような転売規制すべきものや罰則規定などについては継続した議論が必要でしょう。

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