コメ高騰で利益は出しやすくなったが…農家はそれでも楽観できない苦しい事情

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(写真:sasaki106/PIXTA)
2024年後半から日本国内で顕著になった「コメの価格高騰」。スーパーからコメが消えるという異例の事態も報道され、消費者の不安は日に日に高まっています。一方で、この事態を冷静に受け止めている農家や関係者は、単なる一過性の現象とは見ていません。
今、日本のコメ市場では何が起きているのでしょうか、そして、これをきっかけに日本の農業はどのように変わっていくべきなのでしょうか。コメの価格高騰の原因や今後の展望について、農家と消費者の両視点から、『ゼロからはじめる 稼ぐ農業 必ず知っておきたいこと100』著者で農業経営コンサルタントの高津佐和宏氏が語ります。

価格高騰の“複合要因”

今回の価格高騰には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。まず前提として、この数年、コメの需給バランスはわずかに供給不足気味の状態が続いていましたが、この事実は米卸や問屋など、業界内部の一部関係者しか強く意識しておらず、消費者やメディアにとってはあまり認識されていない状況でした。

そして、2024年産米については、夏場の記録的な高温の影響で全国的に品質・収量ともに低下しました。政府発表では供給量が一定数あるとされていたものの、実際に流通したコメはそれよりも少なかった可能性が高く、現場では早くから品薄感が強まっていました。

さらに、2024年8月8日に発生した日向灘地震が、一連の流れを大きく変えるきっかけとなりました。この地震を受けて、南海トラフ地震への危機意識が急激に高まり、首都圏を中心に食料品の「備蓄意識」が加速しました。これにより、家庭での備蓄を目的としたコメの「買い占め」が広がり、各地の店頭から急速にコメが消えていったのです。

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