「石破よ、お前もか」 支持率は歴代政権の「末期」に酷似、石破政権に下された"天命"の行方

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その前日の8月30日に、菅元首相は二階俊博幹事長(当時)と首相官邸で面談し、幹事長交代の意向を伝えた。5年以上にわたって強大な権力を握ってきた二階氏を交代させることで、党内の雰囲気を一新し、求心力を高めようしたわけだ。

二階氏はそれを容認したが、翌31日には公明党の石井啓一幹事長(当時)と面談し、総裁選前の臨時国会の開会を否定した。衆院解散は国会開会中でなければ行えないため、「解散封じ」と捉えられた毎日新聞のスクープのネタ元は当初、クビを切られた二階氏だとささやかれた。

一方で、実はそのネタ元は安倍晋三元首相だとも言われた。「このまま衆院解散になってはまずい」と判断した安倍元首相が、31日夜に菅首相(当時)に衆院解散を見送るように諭したという。第2次安倍政権の8年8カ月を官房長官として支え、その前年に事実上の禅譲を受けた菅元首相としては、党内最大の権力者だった安倍元首相の意向には逆らえるはずがなかった。

そもそも、派閥を持たなかった菅元首相は党内基盤が強くなかった。そして、9月3日に次期総裁選に出馬しないことを表明。菅政権は1年で終焉を迎えた。

「自民党らしくない」ことが裏目に

石破首相も党内基盤は強くない。2015年に結成した「水月会」は、派閥と言いながら「餅代・氷代を配らない」ことで有名だった。また党内の人事面で優遇されなかったため、メンバーが総裁選での推薦人の数に足りない時期もあった。

2018年の総裁選で盤石の安倍氏との一騎打ちで大敗したことはともかく、2020年の総裁選では岸田氏にも及ばず最下位に甘んじ、2021年の総裁選では出馬を諦めたのも、党内基盤の弱さゆえだった。にもかかわらず、石破氏が2024年9月の自民党総裁選で勝利したのは、党内事情にほかならない。

議員票では小泉進次郎元環境相に負けたものの地方票によって1回目の投票で最多の票を獲得した高市早苗・前経済安全保障担当相はほぼ勝利を確信しただろうが、決戦投票で石破氏に敗退した。理由は「高市氏では中国を刺激しすぎると危惧されたため」と言われたが、真実は女性の進出をなかなか認めたがらない党内の気風だろう。

なお、2023年末からの「政治とカネ」問題であえぐ自民党であったから、そこから遠い石破氏が選ばれたともいえる。だからこそ「10万円商品券配布」問題は、じわじわと石破政権を侵食していくだろう。

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