「人手不足」と言われるけれど、欲しい年齢層が採れていないだけでは?「賃金・物価が上がるから」と日銀が利上げすればリスクを高めかねない

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若い人材は確かに足りない(写真: 8x10 / PIXTA)

おそらく少数派だと思うが、筆者は現在の日本経済は人手不足状態には陥っていないと考えている。

とはいえ、最近では齊藤誠名古屋大学大学院教授が昨年12月16日のコラム(「人手不足」は本当か?データからわかる現実とは)で、「かつて『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』と論じられた。いま、賃上げは起きたが実質賃金が上がらない。『人手不足』のほうを疑ったほうがいい」と分析しており、本当に人手不足状態なのか?という疑いを持っている専門家もいる。

人手不足問題を一段と深く分析する必要性が増しているように思われる。

人口は急に減らないが、空気は急に変わる

世の中の人手不足感の正体とは、①人口減少社会では職場から人が減っていくことになるためミクロでは人手不足と感じやすいこと(人手不足感)、②人口減少社会への危機感から若い世代を確保しようというニーズが高まっていること(ミスマッチ)、などではないかと筆者は考えている。

日銀短観の雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)が大幅なマイナスになっている一方で、有効求人倍率はコロナ前と比べて低水準にある。

有効求人倍率は2023年以降は低下しており、少なくともマクロ経済全体として労働供給が不足しているとは言えない状況となっている。

むろん、ハローワークの統計である有効求人倍率のカバー範囲が狭いという問題はある。インターネット上の求人・求職の状況は逼迫している可能性はある。

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