「人手不足」と言われるけれど、欲しい年齢層が採れていないだけでは?「賃金・物価が上がるから」と日銀が利上げすればリスクを高めかねない

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人手不足だろうがミスマッチだろうが、労働市場に摩擦が生じているのであれば同じことだと考える人もいるだろう。しかし、人手不足とミスマッチでは、政策的な対応方法がまったく異なる。

仮にマクロ経済全体で人手不足が生じているのであれば、いずれの年齢層でも賃金上昇が継続することになる可能性が高く、物価への波及が確認できれば日銀による利上げが正当化される。

すなわち、日銀が人手不足を前面に押し出して利上げを継続していることが正しいということになる。

ミスマッチは利上げで解消しないどころか逆効果

一方、当レポートで示したように、日銀短観などで示される人手不足感があくまでも年齢別のミスマッチによる人手不足「感」にとどまる場合、マクロ政策である利上げによる対応で解決することはできないだろう。

ミスマッチを解消するために有効なのはマクロ政策ではない。それどころか、利上げをし過ぎることで総需要を減らしてしまうというリスクが高まる。むろん、政策的に求職者を若返らせることはできないので、求職者のスキルアップを促すか、高齢層も長期間働けるような環境作りが重要だろう。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

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