しかし、ハローワークで仕事を探している人にはそれほど求人がないということには変わりはない。数の上で人手不足なのであれば、ハローワークの求人も増えそうなものである。
おそらくハローワークにおける求職者はインターネット上では求人がある状況なのに、そこにはアクセスできない、もしくはアクセスしてもスキルが要望に満たないという状況にあるのだろう。
企業も高いスキルを持った若い人が欲しいと考えると、必然的にハローワークにアクセスする必要性は低下する。人手不足感の高まりはミスマッチの増加と整理できそうである。
人口減少が日本経済にとって最大の問題であることは間違いないと思うが、現実的にはゆっくりと進んでいる。少なくとも、コロナ前後で急に労働者供給が不足したとは考えにくい。
急に変わったとすれば、「社会の空気」だろう。例えば、①せっかく賃上げをするのであれば長く働いてくれる若い年代が欲しいというニーズが顕在化したこと、②デジタル化・AI化の必要性が高まり、これらに対応できる若い年代へのニーズが高まったこと、などである。
これらは労働力に対する「量的」な変化ではなく、「質的」な変化といえ、ミスマッチの問題である。
欲しいのに採れない年齢層がある
労働市場のミスマッチを示す指標がある(以下、ミスマッチ指標)。
例えば、職種別のミスマッチ(職種別ミスマッチ指標)の大きさを示すミスマッチ指標は、各職種について求人数全体に占める当該職種の求人数割合と、求職者数全体に占める当該職種の求職者数割合の差の絶対値を求めてその合計を2で割って算出する。すなわち、求人の職種別分布と、求職の職種別分布の違いの大きさ(の絶対値)を職種別ミスマッチ指標とする。
他にも、年齢別や地域別などのミスマッチ指標を作成することができる。
ここで、有効求人数と有効求職者数を用いて作成した雇用形態別(正社員、パートタイムなど)のミスマッチ指標と、職業別(運輸・通信事務の職業、一般事務など)のミスマッチ指標を作成してみると、足元でそれほど変化があるわけではなかった。
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