スマホで桜の健康診断──キリンビールの挑戦 「お花見文化」を未来へつなぐ、市民参加型のデータ収集プロジェクト

桜の保全は、自治体の限られた予算と人手では対応が難しい課題だ。自治体の実情を見ると、街路樹など人や車の通行量が多い場所では安全上の理由から定期的な点検が行われるものの、公園や人通りの少ないエリアの桜については十分な管理ができていないのが現状だ。
東京都目黒区では区内約2100本の桜を職員が日常的に巡回点検し、5年に1回、樹木医による診断を行っているが、近年の桜の老齢化や気候変動により、元気だった桜が急激に弱る事例も発生している。こうした状況下で、職員は維持管理に奮闘しているという。
こうした状況を打開するためには、より効率的で広範囲な桜の健康状態把握の仕組みが求められていた。
世界初、桜AIカメラの期待と課題
キリンビールが開発した「桜AIカメラ」は、スマートフォンで撮影した桜の写真を使って、AIが健康状態や推定樹齢を判断し、位置情報と合わせてデータベース化するサービスだ。スマホのカメラで誰でも簡単に参加できる仕組みで、このようなサービスは世界初の試みだという。
利用方法はシンプルだ。スマホで桜を撮影し、位置情報を送るだけで約15秒後には健康状態が「とても元気」から「気がかり」までの5段階で表示される。


無料会員登録はこちら
ログインはこちら