「私は被害者の親族です」“もはやホラー”な医療漫画『脳外科医竹田くん』の作者が、《モデルとなった医師》を先んじて提訴した理由

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作者代理人の平野敬弁護士
作者代理人の平野敬弁護士(2025年3月11日/大阪府/弁護士ドットコム)

実際のところ、医師からは、まだ民事・刑事で法的措置をとられていないが、作者側としては先んじて、漫画には違法性がないことを確認しようとするのが今回の裁判の狙いだ。

漫画による「名誉毀損」は成立しないと主張

原告の男性側は、漫画によって、医師の社会的評価は一定程度低下することはあっても、漫画には公共性・公益性や真実性などがあり、裏付けられた情報に基づく内容であるから、名誉毀損は成立しないと主張している。

また、漫画は市立病院における一連の医療事故およびその後の病院組織の対応をめぐる諸問題をテーマとして描いており、赤穂市民病院において被告の医師が関与した一連の手術に重大な医療事故が頻発したこと、そして検証過程で問題が多発したことという「重要な部分」においては、病院のガバナンス検証委員会の報告書などから事実が裏付けられており、真実性に欠けるところはないとしている。

つまり、医師の社会的評価が低下したとしても、名誉毀損の成立が認められないという考えだ。

なお、先行する開示手続きで、医師側が問題としたのは、140話あるうちの4話だけだったという。平野弁護士は、4話だけをもって名誉毀損の成否を論じる判断枠組みは「誤り」と指摘。この4話には、赤穂市民病院における医療事故の描写は一つも含まれていないという。

また、仮に問題とされた4話について検討しても、名誉毀損は成立しないという考えだ。

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