「私は被害者の親族です」“もはやホラー”な医療漫画『脳外科医竹田くん』の作者が、《モデルとなった医師》を先んじて提訴した理由
『竹田くん』の連載は2023年1月からインターネット上で始まり、ほぼ1日1話のペースで142話まで続いた(うち2話は非掲載)。
「赤穂市民病院」が「赤池市民病院」などと書かれているフィクションのかたちをとってはいるが、「漫画は公立病院における一連の医療事故およびその後の病院組織の対応をめぐる諸問題を主題として描いている」(訴状から)
モデルとなった医師による発信者情報開示の手続きがとられ始めたのは同年10月のこと。その後、発信者情報の開示が裁判所に認められて、2024年7月に作者である男性の住所・氏名が医師のもとに渡ったという。
以来、NHK『クローズアップ現代』で医療事故が報じられ、医師が在宅起訴されるなど、メディアや捜査機関も巻き込み、大きな動きが続いている。
「竹田くんモデルの医師」を自称するXアカウントが発信をはじめた
原告代理人をつとめる平野敬弁護士によると、開示の手続きにおいて、医師は、不法行為に基づく損害賠償請求をする考えを示したという。また、SNSには「脳外科医 竹田くんのモデル」と称するアカウントが、漫画の発信元について刑事告訴も検討しているとの考えを公表した。
平野弁護士によると、このアカウントが医師によるものだと判明していないが、当事者しか知りえない情報を発信しているという。活発な発信活動に合わせてフォロワーが集まっていることもあり、「漫画をウソだ」と広められるおそれを懸念したという。
医師がいつ損害賠償請求に動くかわからない状態にあり、「地位が不安定」な状況にあったことから、「開示されて3年間、怯え続けなければいけない。先手を打って心身の安定をはかりたい」という考えからも、今回の提訴に至ったとしている。